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世界のポリオの状況

 世界のポリオの状況

ポリオはかつて世界的な公衆衛生上の危機とされていましたが、1988年に「世界ポリオ根絶推進計画(GPEI)」が開始されて以来、症例数は99%以上減少しました。当時は125か国以上で年間約35万件の症例が報告されていましたが、現在では野生型ポリオウイルスが常在している国はアフガニスタンとパキスタンの2か国に限られています。しかしながら、「循環型ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)」によるアウトブレイクは、根絶活動における大きな課題として依然存在しています。cVDPVとは、経口ポリオワクチンに含まれる弱毒化ウイルスが、予防接種率の低い地域において変異し、再び病原性を持つようになることで発生するまれな株です。近年では、アフリカ、中東、東南アジアの20か国以上でcVDPVによる症例が報告されており、予防接種率やサーベイランス(監視体制)の不備が問題となっています。日本は、長年にわたりポリオの根絶を維持してきましたが、国際的な渡航による国内へのウイルスの持ち込みや、反対にワクチン接種率の低下が進む国外の地域へのウイルスの持ち込みの双方がリスクとなっています。このような状況において、日本は自国の成功経験を活かし、監視体制の強化、ワクチン接種の支援、国際的な協力の推進を通じて、ポリオ根絶に向けた最終段階に貢献する重要な時期を迎えています。